インセカンズ
「子供染みた理由だって分かってる。安信さんには何の関係もねーよ。ただの俺の問題で」
分かっていてもどうにもならない感情があることを緋衣も知っている。逃れたいと思っても引き寄せられて囚われて、逃げることもままならない。
「山崎も硬派なふりして可愛いとこあるじゃん」
自分もまだ少年だった頃の安信は、同じく少年時代の山崎の心にどれだけ鮮やかな存在感を残していったのだろう。愛憎紙一重の思いを抱かせるほどの強烈なインパクトを放った、その頃の安信を見てみたいと思った。もしその頃出会っていたら、彼を一目見て恋に堕ちたのだろうか。
「ヤスさん、山崎が正直にそう告白してくれたら嬉しいんじゃない? 理由も分からないまま気嫌いされるって嫌じゃない?」
「こんなダセー理由知られるくらいだったら、生理的に嫌ってるって思われた方がマシだ」
「私が話しちゃったら?」
「アズはそういうことしないタイプだろ。言っていい悪いは判断できるはず」
「先手打たれるとどうしようもないよね」
当然緋衣には、始めから安信に伝えるつもりはない。けれども、そう言って首を竦めてみせる。そこでタイミング良く仕事用の携帯が鳴り始めて、緋衣は山崎に断りを入れると、彼から少し離れたところに移動する。
電話が終わり、スケジュール帳にアポの詳細を入力しながら戻ってくると、山崎が次の煙草に火を点けたところだった。
分かっていてもどうにもならない感情があることを緋衣も知っている。逃れたいと思っても引き寄せられて囚われて、逃げることもままならない。
「山崎も硬派なふりして可愛いとこあるじゃん」
自分もまだ少年だった頃の安信は、同じく少年時代の山崎の心にどれだけ鮮やかな存在感を残していったのだろう。愛憎紙一重の思いを抱かせるほどの強烈なインパクトを放った、その頃の安信を見てみたいと思った。もしその頃出会っていたら、彼を一目見て恋に堕ちたのだろうか。
「ヤスさん、山崎が正直にそう告白してくれたら嬉しいんじゃない? 理由も分からないまま気嫌いされるって嫌じゃない?」
「こんなダセー理由知られるくらいだったら、生理的に嫌ってるって思われた方がマシだ」
「私が話しちゃったら?」
「アズはそういうことしないタイプだろ。言っていい悪いは判断できるはず」
「先手打たれるとどうしようもないよね」
当然緋衣には、始めから安信に伝えるつもりはない。けれども、そう言って首を竦めてみせる。そこでタイミング良く仕事用の携帯が鳴り始めて、緋衣は山崎に断りを入れると、彼から少し離れたところに移動する。
電話が終わり、スケジュール帳にアポの詳細を入力しながら戻ってくると、山崎が次の煙草に火を点けたところだった。