インセカンズ
どうぞ、と促されてリビングに案内される。
ウォルナットの家具で統一された室内は、モスグリーンのソファがアクセントになっている。男の一人暮らしにしては整然としていた。
「ヤスさんって、きれい好きなんですね?」と聞いた後、あ……と口籠る緋衣に、安信は溜息交じりに苦笑する。
「今更かよ。見て分かんだろ。女がいんのにアズ呼ぶかよ」
「そうですよね」
「プライベートは意外と鈍いんだな」
「気を遣ったんです」
「あ、そ。ちょっと来いよ」
唇を尖らせ気味に言う緋衣に、安信はさして興味なさげに返事をしてから手招きする。キャビネットには、まるでバーのように幾つものリキュールが飾られていた。
「うわ。お店みたい。相当お酒好きなんですね」
「ああ。俺、軽くアル中だから」
「アル中、ですか……?」真面目な顔でさらりと言う安信に、緋衣は訝しげに返す。
「悪いかよ」
「だから、まだ何も言ってないじゃないですか」
今度はわざとらしく唇を尖らせてみれば、安信はふっ、と笑う。
その視線はいつも会社で見せる理知的なものとは違いとても優しいもので、緋衣は思わずきょとんとする。
「なんだ、そのきょとん顔。で? カクテル以外も、ワイン、焼酎、日本酒、一通り揃ってるけど」
どうする?と訊ねられて、リキュールのラベルに書いてある名称を頭の中で反芻しながら、無駄に整頓された部屋を思い出す。
ウォルナットの家具で統一された室内は、モスグリーンのソファがアクセントになっている。男の一人暮らしにしては整然としていた。
「ヤスさんって、きれい好きなんですね?」と聞いた後、あ……と口籠る緋衣に、安信は溜息交じりに苦笑する。
「今更かよ。見て分かんだろ。女がいんのにアズ呼ぶかよ」
「そうですよね」
「プライベートは意外と鈍いんだな」
「気を遣ったんです」
「あ、そ。ちょっと来いよ」
唇を尖らせ気味に言う緋衣に、安信はさして興味なさげに返事をしてから手招きする。キャビネットには、まるでバーのように幾つものリキュールが飾られていた。
「うわ。お店みたい。相当お酒好きなんですね」
「ああ。俺、軽くアル中だから」
「アル中、ですか……?」真面目な顔でさらりと言う安信に、緋衣は訝しげに返す。
「悪いかよ」
「だから、まだ何も言ってないじゃないですか」
今度はわざとらしく唇を尖らせてみれば、安信はふっ、と笑う。
その視線はいつも会社で見せる理知的なものとは違いとても優しいもので、緋衣は思わずきょとんとする。
「なんだ、そのきょとん顔。で? カクテル以外も、ワイン、焼酎、日本酒、一通り揃ってるけど」
どうする?と訊ねられて、リキュールのラベルに書いてある名称を頭の中で反芻しながら、無駄に整頓された部屋を思い出す。