インセカンズ
緋衣は、シャワーを浴びながら、そういえば、男女の駆け引きめいた事をするのは久しぶりだと思う。
振り返ってみれば、バーでアルバイトをしていた学生時代が人生最大のモテ期だったような気がする。
バーの客以外にも、コンパや紹介の話が相次いで舞い込んできて、社交辞令的なものから本気の誘いまで、男性からの誘惑が絶えたことなかった。その頃の緋衣は、相手選びは慎重にしながらも、興味が湧けば出会ったその日のうちに夜を共にする事もあった。若さも手伝って、躊躇よりも好奇心が勝っていた。
社会人になり、仕事の忙しさにかまけて恋愛のフィールドから一線を退いてから、亮祐と出会うまでのブランクの間、どうも自分は初心(ウブ)になっていたのかもしれない。年を重ねるにつれて用心深くなったということもあるが、安信が揶揄して言う‘優等生’というのは、その辺りからきているのかもしれないと思った。
ほらね。何も起きなかった。
緋衣は、洗面台の鏡に映る裸の自分を見る。
上気して赤く染まった頬。水滴を弾く瑞々しい素肌。ツンと上を向いた形の良いバスト。
敢えて浴室の鍵を掛けなかったが、予想通り、安信が覗きに来ることはなかった。
着替え用に用意されていたのは、男物のボクサーパンツとメンズサイズのスエットだった。下着はタグを取ったばかりという感じではなく、使用前に一度水通しした程度の新品同様で、ひと手間を感じさせると同時に異性の影がちらつくが、女物を準備されるよりはずっと良いと思う。
振り返ってみれば、バーでアルバイトをしていた学生時代が人生最大のモテ期だったような気がする。
バーの客以外にも、コンパや紹介の話が相次いで舞い込んできて、社交辞令的なものから本気の誘いまで、男性からの誘惑が絶えたことなかった。その頃の緋衣は、相手選びは慎重にしながらも、興味が湧けば出会ったその日のうちに夜を共にする事もあった。若さも手伝って、躊躇よりも好奇心が勝っていた。
社会人になり、仕事の忙しさにかまけて恋愛のフィールドから一線を退いてから、亮祐と出会うまでのブランクの間、どうも自分は初心(ウブ)になっていたのかもしれない。年を重ねるにつれて用心深くなったということもあるが、安信が揶揄して言う‘優等生’というのは、その辺りからきているのかもしれないと思った。
ほらね。何も起きなかった。
緋衣は、洗面台の鏡に映る裸の自分を見る。
上気して赤く染まった頬。水滴を弾く瑞々しい素肌。ツンと上を向いた形の良いバスト。
敢えて浴室の鍵を掛けなかったが、予想通り、安信が覗きに来ることはなかった。
着替え用に用意されていたのは、男物のボクサーパンツとメンズサイズのスエットだった。下着はタグを取ったばかりという感じではなく、使用前に一度水通しした程度の新品同様で、ひと手間を感じさせると同時に異性の影がちらつくが、女物を準備されるよりはずっと良いと思う。