インセカンズ
「仕事とプライベートをごちゃまぜにしたくないだけです。ヤスさんだって本当はそうでしょ?」
「それは俺にも分かるよ。けど、そうやって何かと理由をつけて他人との間に線を引くのって、ミチルみたいに気付くやつは気付くよ。程度な距離感を好む人間もいるけれど、さみしいと感じる人間もいる。アズは相手を尊重しようという気持ちが強いから、相手に踏み込まない分、踏み込ませないでいるのかもしれないけど」
「ヤスさんて、言い方上手いですよね。でも本当にそう思ってれば、私のこと優等生とは言わないですよね?」
「はっ。鋭いねぇ」
安信がにやりと笑う。
「ここまできたら、気遣いはいらないですよ。私、自分では、相手の気持ちを察するのが得意な人間だと思ってたんですけど、あんまりそうでもないみたいだし、ストレートに言ってくれた方が理解しやすいです」
「オーケー。じゃあ、飲み比べして、俺が勝てば今夜抱かせろよ」
安信は、あっさりさっぱりと清々しいくらいの口振りで誘惑の言葉を口にする。
単なる言葉遊びにも取れるように、敢えてどちらにでも転べる素振りをしている様子に、緋衣は少し混乱する。そもそもがやはり社交辞令なのか分からなかった為、分からないからこそ、無難に大人な女性の応対を選ぶ事にする。
「だいぶストレートにきましたね。でも、寝不足続きの私には分が悪いです。ヤスさんだって、酔いつぶれて意識のない私を抱いてもつまらないでしょ?」
「俺はフェミニストだし、確かにフェアじゃないな。そうだな……。じゃあ、やるのは今夜じゃなくていい」
「あくまでヤスさんが勝つこと前提なんですね? まぁ、いいですけど、そんな事ばっかり言ってると、ヤスさんて本当は言うほどモテないのかなって気がしてくるんですけど」
「この数か月、俺に遊ぶ余裕なんてあったか?」
「時間があろうがなかろうが、モテ男って上手に遊んでますよね」
安信のような男性の場合、仕事が忙しい時ほどプライベートが充実しているものだ。ない時間をやりくりして上手に遊んでいるからこそ、どんなに仕事に追われていようともやつれた感じはなく、充足感に満ちている。それがより女性の目に魅力的に映り相乗効果として現れるのだ。思い返してみれば、安信の噂が立つ時は、大抵仕事が山場を向えている時だった様な気がする。
「だから言ったろ。俺は案外不慣れだっての」
「だとしたら、ヤスさんこそ、ギャップ萌えですね」
緋衣はくすりと笑みを零す。
その様子に、安信はふと目元を和らげると柔和に微笑んだ。
「それは俺にも分かるよ。けど、そうやって何かと理由をつけて他人との間に線を引くのって、ミチルみたいに気付くやつは気付くよ。程度な距離感を好む人間もいるけれど、さみしいと感じる人間もいる。アズは相手を尊重しようという気持ちが強いから、相手に踏み込まない分、踏み込ませないでいるのかもしれないけど」
「ヤスさんて、言い方上手いですよね。でも本当にそう思ってれば、私のこと優等生とは言わないですよね?」
「はっ。鋭いねぇ」
安信がにやりと笑う。
「ここまできたら、気遣いはいらないですよ。私、自分では、相手の気持ちを察するのが得意な人間だと思ってたんですけど、あんまりそうでもないみたいだし、ストレートに言ってくれた方が理解しやすいです」
「オーケー。じゃあ、飲み比べして、俺が勝てば今夜抱かせろよ」
安信は、あっさりさっぱりと清々しいくらいの口振りで誘惑の言葉を口にする。
単なる言葉遊びにも取れるように、敢えてどちらにでも転べる素振りをしている様子に、緋衣は少し混乱する。そもそもがやはり社交辞令なのか分からなかった為、分からないからこそ、無難に大人な女性の応対を選ぶ事にする。
「だいぶストレートにきましたね。でも、寝不足続きの私には分が悪いです。ヤスさんだって、酔いつぶれて意識のない私を抱いてもつまらないでしょ?」
「俺はフェミニストだし、確かにフェアじゃないな。そうだな……。じゃあ、やるのは今夜じゃなくていい」
「あくまでヤスさんが勝つこと前提なんですね? まぁ、いいですけど、そんな事ばっかり言ってると、ヤスさんて本当は言うほどモテないのかなって気がしてくるんですけど」
「この数か月、俺に遊ぶ余裕なんてあったか?」
「時間があろうがなかろうが、モテ男って上手に遊んでますよね」
安信のような男性の場合、仕事が忙しい時ほどプライベートが充実しているものだ。ない時間をやりくりして上手に遊んでいるからこそ、どんなに仕事に追われていようともやつれた感じはなく、充足感に満ちている。それがより女性の目に魅力的に映り相乗効果として現れるのだ。思い返してみれば、安信の噂が立つ時は、大抵仕事が山場を向えている時だった様な気がする。
「だから言ったろ。俺は案外不慣れだっての」
「だとしたら、ヤスさんこそ、ギャップ萌えですね」
緋衣はくすりと笑みを零す。
その様子に、安信はふと目元を和らげると柔和に微笑んだ。