インセカンズ
踊り場に着き木製の重厚なドアを開けば、エントランスチャイムがカランコロンと鳴り響く。安信が出迎えにきたマスターに二名だと告げるとテーブル席を案内される。
さっそくカクテルを頼みマスターが退くと、さっきの続きだけど、と安信が口を開く。
「28の女が靡くのは、結婚の二文字だけか?」
「それ馬鹿にしてます? ヤスさんだって分かるでしょ。どんなに可愛い女の子でも、ちやほやされるのなんてせいぜい27、8迄。結局、男なんて、一歳でも若い女の方が好きなんですよ。そういう男側の目線があるから女は焦るんです」
テレビのドラマやバラエティでも、雑誌でも、女性がそういった扱いをされているのをよく目にする。男は何歳になっても男で、けれども女はそうじゃないというのだ。ばかにしている。
「確かにそういう風潮はあるけど、女を年齢で考えるバカ男に踊らされる女も女だよ。たまに、いい年したおっさんが若いコ捉まえて自慢したり、本気で羨ましがったりしている輩を見かけるけど、そんなの俺からすれば自慢でもなんでもねーよ。同世代の女に洟にも引っ掛けてもらえなかった幼稚で低能な男ってだけ。単なるロリコンだよ」
安信は、煙草いいか?と前置きしてからメンソールに火を点ける。
「今はそう思っていても、ヤスさんだって男の本能で、好きになった相手がたまたま年下だっただけとか言って、最終的には浮名流しまくって40過ぎた頃に、20代の若くて可愛いコ選びますよ、きっと」
「それ、広報部の話だろ? 少し前に噂になったもんな。浮気で新入社員に手出して妊娠させて、長年付き合ってた社内公認の彼女あっさり捨てたってやつ。そいつに異動辞令出てるの聞いたか? 実質、左遷だけど。さすがに酷い話だって、部長カンカンだったらしいな。男がバカだとこうなるんだよ。結局、誰も得しない」
安信は言うと紫煙を吐き出す。
さっそくカクテルを頼みマスターが退くと、さっきの続きだけど、と安信が口を開く。
「28の女が靡くのは、結婚の二文字だけか?」
「それ馬鹿にしてます? ヤスさんだって分かるでしょ。どんなに可愛い女の子でも、ちやほやされるのなんてせいぜい27、8迄。結局、男なんて、一歳でも若い女の方が好きなんですよ。そういう男側の目線があるから女は焦るんです」
テレビのドラマやバラエティでも、雑誌でも、女性がそういった扱いをされているのをよく目にする。男は何歳になっても男で、けれども女はそうじゃないというのだ。ばかにしている。
「確かにそういう風潮はあるけど、女を年齢で考えるバカ男に踊らされる女も女だよ。たまに、いい年したおっさんが若いコ捉まえて自慢したり、本気で羨ましがったりしている輩を見かけるけど、そんなの俺からすれば自慢でもなんでもねーよ。同世代の女に洟にも引っ掛けてもらえなかった幼稚で低能な男ってだけ。単なるロリコンだよ」
安信は、煙草いいか?と前置きしてからメンソールに火を点ける。
「今はそう思っていても、ヤスさんだって男の本能で、好きになった相手がたまたま年下だっただけとか言って、最終的には浮名流しまくって40過ぎた頃に、20代の若くて可愛いコ選びますよ、きっと」
「それ、広報部の話だろ? 少し前に噂になったもんな。浮気で新入社員に手出して妊娠させて、長年付き合ってた社内公認の彼女あっさり捨てたってやつ。そいつに異動辞令出てるの聞いたか? 実質、左遷だけど。さすがに酷い話だって、部長カンカンだったらしいな。男がバカだとこうなるんだよ。結局、誰も得しない」
安信は言うと紫煙を吐き出す。