インセカンズ
「アズって、意外と大胆だな」

安信の劣情は刺激を受けてどくんとひとつ脈打つ。

「もう準備できてるならください」

「アズがまだだろ。傷つけたくない」

「大丈夫じゃなかったら言わないです」

「まだほとんど触ってないけど」

「でも、キスはいっぱいしましたよね。だから」

緋衣の言葉に、安信は始めて彼女の下着へと指先を進めれば、クロッチ部分がぬるりと滑る。

「キス好きなんだ?」

安信はふ、と口元を綻ばせて緋衣の片足を持ち上げる。すぐさま彼女の秘部に硬いものが宛がわれた。けれども、それはなかなか入ってこようとはしない。

「早く……。焦らさないで」

抱き上げられた足を腰に巻き付けて催促すれば、彼は一瞬眉間に深い皺を刻む。

「くっ……。ヤベっ。何なのおまえ」

緋衣の最奥にまで到達すると、安信は肩で荒い息をする。緋衣が口元を隠すように手を当てて俯いていることに気付いた。

「顔上げろ。泣いてるのか? 俺、痛くしたか……?」

緋衣の顎に手を添えて顔を上に向かせると、彼女は唇を覆っていた手で今度は安信のシャツの袖をぎゅっと掴んだ。ふるふると頭を横に振る。

「ちがっ……。気持ちいい……」

「急にしおらしくなんなよ。心配するだろーが。あー……。マジこれヤバイ」

目尻に薄っすら涙を浮かべ細い息を吐く緋衣に安堵の溜息を吐いたのも束の間、安信は切羽詰まったような声で唸る。
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