インセカンズ
「なぁ、アズって、いくときどっちでいく? 外か?」

身も蓋もない聞かれ方をして彼を睨むが、とろんとして目元に力が入らない。彼が返事を待っているのが分かり仕方なく答える。

「……なんで分かるんですか?」

「アズん中、普通の男は耐えらんないだろ。本当におまえもちゃんと良いのか? 押しても引いてもアズのが」

「そういうの、言わないでください。ヤスさんが気持ちいいところは私も同じです」

「なら良かった。あー、これ、どうすんだよ。進退窮まる」

「変な日本語使わないください。ホント、おっさんですね。その言葉、生涯で一度も使わない人がほとんどだと思いますけど」

「ある言葉は使わないと廃れてなくなるだろ」

「私、最中にこんなに話すの初めてですよ」

「俺もだよ。未知との遭遇でテンパってんだよ、分かれよ」

軽口を叩いている安信だが、その顔には欲情があらわになっている。その寄せられる熱い視線に、緋衣の背筋にはさっきからぞくぞくと電流の様なものが走っては掛け抜けていく。

「……どうすればいいんですか?」

「とりあえず、ちゃんとベッド行こ。俺にしがみつけ。いいか、あんま締め付けんなよ」

安信は、緋衣の両腕を自分の首の後ろに回させるとそのまま抱き上げる。

そのせいで、緋衣の最奥を突き上げる形となった安信の劣情にじんじんしたと甘い痺れを与えられて、きゅんと疼く身体を持て余すように思わず彼の頭ごと抱き締める。

「いい顔すんじゃん。アズのそういう顔が見たかった」

安信は、快感に震える緋衣が涙で濡らした頬を拭ってやると、満足そうに笑みを浮かべた。
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