インセカンズ
緋衣がブラウスに袖を通したところで、安信の携帯が着信を知らせた。彼の口調から察するに、仕事絡みではないことはすぐに分かった。

「30分後に女が来る」

安信は、通話を終えるとそう言って、携帯をベッドに放り投げる。

「ちょうどタイミング良かったですね。私はすぐにお暇する――」

緋衣が言おうとした続く言葉は、突然背後から安信に引き寄せられた事によって遮られた。

「30分あれば、あと一回はできるだろ」

安信は、緋衣が身に着けたばかりのスカートをウエストまで捲り上げる。

「え、ちょっ、何考えてるんですかっ!」

勢いよく声にしたものの、次の瞬間、安信の指先の感触を秘部に感じてびくりと体を震わせる。

「アズの顔見ただけでいつも俺やばいの分かってる? ……ほら、中まだ濡れてるし」

「だからって、早くしないとっ」

わざと音が出るように内壁を抉る安信の指技に、情欲の涙を浮かべながらも抵抗する。

「そう。だから、早く入れて終わりにしような」

「ちがっ! そういう意味じゃなくて……っ!」

強がりが口を衝くものの、秘部に押し当てられた安信の劣情の硬さに、期待からくらりと眩暈を起こす。ひとつに繋がってしまえば最後、緋衣は自らも身体を揺らして貪欲に快楽を貪り始める。

緋衣は、罪深いくらいに欲深い人間だったことを安信に抱かれて初めて知った。

どんなに強がっても最後まで拒みきれないのは、彼が与えてくれる嵐のような快感の渦を知ってしまったから。これまで経験しえなかった最果ての境地まで確実に導いてくれる彼のことを、どうして自分から突き放すことができるだろうか。唇を重ねる度に高鳴る心臓の音に、緋衣はいくつもの言い訳を考える。
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