メランコリック
そこにはスマホを撮影の体勢で構えた相良駿吾がいた。


「杉野さぁん、藤枝嫌がってませんかぁ?」


相良は呑気な声でいった。

杉野マネージャーが慌ててカッターをスーツの上着に押し込む。


「相良、おまえには関係ないだろう」


「いやぁ、藤枝は同期なんで。部下食うのが趣味の男と一緒じゃ、ほっとけないッス」


「藤枝は俺が好きなんだ。両思いなんだよ、俺たちは。おまえの出る幕はないって言っている」


強気な杉野マネージャーを無視して、相良が私を呼んだ。


「藤枝、来い!」


ここで私を拘束することは杉野マネージャーにはできない。合意の上と主張しているのだから。

私は回された腕を振り払い、相良の下へ駆け寄った。相良が私の身体を抱きとめる。
左手が私を守るように肩を抱いた。

その手は大きく安心だった。
杉野マネージャーの手とは全然違う。


「写真撮らせてもらいました。あんたがカッターちらつかせてるところも、ばっちり撮れてます」

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