メランコリック
「ひとりで平気だよ」


「のど渇いた。コーヒーくらい飲ませろ」


相良が駄々をこねる子どものような口調で言った。
私はまたしてもふっと笑ってしまう。
変なやつ。

私のことが嫌いなのに、助けてくれるし、今は甘えたいみたいだ。


「寒いもんね。少し温まってから帰って」


私は相良に肩を抱かれたままアパートの外階段を登る。そして、誰も入れたことのない部屋に相良を通した。

相良が私のベッドに腰掛け、私はコートを脱ぐとお湯を沸かし、コーヒーの準備を始める。


「味も素っ気も無い部屋だな」


相良が憎まれ口を叩く。


「別に期待してなかったでしょ」


「まあな」


以前在庫過多で買い取ったドリップコーヒーがあるので、それを使った。
お客様用のティーカップなんか無いので、予備のマグカップにコーヒーを淹れる。受け取った相良は一緒に出した牛乳をだーっとマグカップに追加した。
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