メランコリック
廊下の突き当たり、内階段の近くまで連れて来ると、藤枝が先に口を開いた。


「どうしたの?なんで本社に?」


「さっき言っただろ、就活サポートメンバーなんだよ。おまえをストーカーしてるわけじゃねぇぞ」


藤枝は驚いた顔を少し緩めた。以前のような警戒心や嫌悪を含んだ視線ではない。
無関心そうでもない。


「な、俺今日はもう上がり。定時まで待つから、メシ食いに行こうぜ」


俺は畳み掛けるように言った。
藤枝が唇を横に引いた。薄く笑んだように見える。
離れた分なのか、以前より余裕のある対応だった。


「行かない」


「なんでだよ」


「嫌いな女をごはんに誘わないで。私も、相良くんとごはんとか、考えられないし」


今のおまえは「嫌いな女」じゃなくて「付き合いたい女」なんだよ。
だけど、そんなこと言ったってこいつの心には響かない。


「考えなくていい。フツーについてくりゃいいんだよ、バーカ」


「二人では……行かない」

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