メランコリック
俺は藤枝の顔を見ずに夜空を見上げる。
手はぎゅっと握ったまま。


「いじめてた頃はおまえに嫌われてもいいって思ってた。でも、今はおまえに好かれてみたい」


藤枝がどんな顔してるかはわからない。
俺も恥ずかしいから、藤枝の方を見られないし。


「付き合えよ。おまえをいじめてきた分の償いをさせろ。藤枝は、退屈そうに生きてるけど、俺と付き合ったら退屈する暇なんか与えねーから」


「相良くん……私は誰かと愛情で結び付くような関係を築くつもりはないんだ」


藤枝が静かに答えた。つないだ手はひんやりしていて、ちっとも温まらない。


「なんでだよ」


「月並みだけど、うちの両親は離婚してるし。どちらも私を育てられなかった。……気持ちや愛に、一生続くものはないっていうか。私も信頼してないし。だから、ひとりで独立して生きていこうって昔から決めてる」


「決めつけんの早くねぇ?」


藤枝が俺を見上げるのがわかった。
俺はクサイことを言い続けてる自分が恥ずかしすぎて、やっぱり藤枝の顔を見られない。

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