メランコリック
乗換も挟み、最寄り駅に到着すると、俺は躊躇わず藤枝の手を握った。


「相良くん、ちょっと」


藤枝がわずかに焦った声音で抗議する。


「ハイハイ、うるせーから」


俺はぐいぐいと手を引き、歩いた。
もう覚えた藤枝の家。徒歩10分ちょっとの距離が殊更愛しい。

俺は、やっぱり藤枝が好きなんだろうか。
信じられないけど。今までのタイプとはかけ離れてるけど。

だって、藤枝が俺の方を見て笑ってくれることがこんなに嬉しい。
藤枝の笑顔にこれほどに惹きつけられる。

これは、恋愛感情って認定していいんじゃないか?

それなら、今まで俺がしてきたことは、小学生男子をもっと悪辣にしたようなことだ。
『気を引きたいからいじめる』
自分の幼稚さと、悪意と好意ないまぜの執着に呆れてしまう。

散々いじめ抜いてきた俺に挽回のチャンスはあるのだろうか。


「おまえ、俺のこと嫌いだろ?」


「好きではないよ」


「でも、決定的に嫌いとは言えないわけだ」
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