メランコリック
キスが終わり顔を離すと、苦笑いの藤枝がいた。


「私は誰のことも好きにならない」


「逃げてるだけじゃねぇの?他人から」


「逃げてるっていうなら、それでもいい」


藤枝は笑っていた。だけど、その表情は拒絶だった。
俺は踏み込めないし、踏み込んではいけない。だけど、すごすご引き下がるのも嫌だ。


「絶対、俺のこと好きにさせるから」


自分のために決意表明して、俺は藤枝から離れた。

そうだ、今日からまたスタートすればいい。
藤枝汐里の心を動かすために、ここを基点にすればいいんだ。


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