メランコリック
こんなすべてに無関心な目があるだろうか。
だから、俺はこいつにこっちを見させたくて躍起になってしまったのだ。

藤枝が俺を見つめ、あらためて微笑んだ。


「でも、謝ってくれてありがとう。相良くん、なんだかんだで私を助けてくれるし、気遣ってくれるから、もうずっと私の中で相良くんは敵じゃない」


その言葉がどれほど嬉しかったかわからない。
俺は勢い、再び藤枝の身体を引き寄せ、抱き締めた。
そして熱に浮かされたような心地で言った。


「これもちゃんと言ってなかった。……好きだ、藤枝」


相良くん、と俺を呼ぶ声を奪って、俺は藤枝に口付けた。
藤枝は抗わない。
付き合わないと繰り返すくせに、俺のキスは受け入れてくれる。

そこにまだ希望を感じてしまうんだ。

藤枝が俺のものになるかもしれない淡い期待。

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