メランコリック
「なんで、相良くんが旦那さんになりたがるのかわからない」


「なんで、っておまえのこと好きだから」


「私のどこを好きなの?」


藤枝の声は嘲笑めいていて、あいつの自己評価の低さを感じた。
俺は生半可なことを言いたくなかったけれど、最適な言葉もわからなかった。

だから、素直に今の気持ちを言った。


「何にも映してない目」


「は?」


「昔、死んだ親友に似てる。だから、放っておきたくない」


藤枝が唇を噛み締め、黙った。
だよな、そんなこと言われてもな。


「私はその親友の人じゃない」


藤枝がようやく答えたのは、最寄り駅についてからだった。改札を出て同じ方面の出口に下りると言った。
別れ際のセリフにしたいようだった。
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