メランコリック
「冗談じゃない。私を救うヒーローのつもり?そういうの気持ち悪い。やめて」


涙をこぼし、必死に嘲笑をうかべる私はいっそ滑稽だっただろう。
強がりもいいところ。
相良の言葉に単純にもほだされそうになった自分を叱咤して、私は怒鳴った。


「もう付きまとわないで。これ以上は無理」


言うなり背を向け、私は走った。

相良が追いかけてこないと知りつつ走った。
アパートまでやってきて、まだ自分が泣いていることに気付く。


玄関で立ち止まり、鞄から涙をぬぐうハンカチと鍵を探し出す。
ハンカチは出てこず、鍵だけドアノブに押し込んだ。

開錠の感触。


次に私の後頭部を激しい一撃が襲った。




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