メランコリック
うっすらと夜が去っていく室内、ベッドに並んで転がり、私たちは向かい合っていた。


「ずっと、誰かにこうしてほしかった」


私は相良……駿吾の頬を撫でて言った。


「誰かに言ってほしかった。信じてもいいって。抱き締めてほしかった」


駿吾が私の髪を撫でた。私は泣かないように唇を噛み締める。


「父と母のこと、理解した振りをして、諦めた振りをして。本当はずっと憎んでいたの。幸せにできないって置いていった母も、お酒の世界に逃避した父も」


「二人とも汐里の幸せを願ったから離れたんだ」


「幸せなんて願われたくなかった。連れて行ってほしかった。先に待っているのが貧乏だって、共倒れの心中だって、置いていかれるよりずっとよかった。……ひとりは嫌。必要とされないのは嫌」


駿吾が私の腕をつかみ、手繰り寄せるように胸の中に招き入れた。
温かな駿吾の身体に身を寄せる。泣きたいほどの安心があった。

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