メランコリック
「体調、本当にもう大丈夫なんだな」


「うん、薬がよく効いてるみたい。このまま症状がなくなれば、この薬で大丈夫だってさ」


駿吾が歩きながら私を見下ろし、頷いた。
納得したというより、私の体調を見定めようとしているみたいだった。

駿吾が私を心配する理由、今日もわざわざ会いにきてくれた理由。

先月、私に甲状腺機能の病気が見つかったのだ。

私自身は最初気付かず、普通に病院勤務をしていた。
体重がひどく落ちたのも、疲れやすいのも、担当病棟が変わったばかりのせいだと思っていた。

ゆえに職場で倒れ、病気に気付いた時には、体力が低下し立ち上がれないほどになっていた。

二週間の休職と自宅療養。

幸い、病気自体は薬さえ合えば症状が軽減していくもので、多くの場合は数ヶ月で症状が改善し数年内に治癒する。
私の場合も最初に処方された薬でだいぶ疲労感や動悸がおさまり、このまま仕事をしながら快復を見込めるとのこと。

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