メランコリック
バカみたい。
バカな男。

その育ちが良さそうで、呑気ないじめっ子ぶりが大嫌い。
幸せが当たり前だから、人の不幸にうといところが大嫌い。

でも、相良の心配そうな横顔は、少しだけ悪くないと思った。
何にせよ、助けてくれたのは彼だ。



*****



「失敗しちゃったんですか?」


美容師のお兄さんの声に私は曖昧に頷いた。

切られた髪を揃えてもらおうと休みを利用してヘアサロンに来ていた。
決まったヘアサロンは使わない。顔馴染みになりたくないからだ。


「自分で切ってみようかと思ったんですけど、難しいですね。途中で止めちゃいました」


言い訳みたいだな、なんて思いながら言う。
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