メランコリック
「アハハ、チャレンジャーだねぇ」


美容師のお兄さんが大きな声で笑った。


「髪失敗しちゃうと結構ショックな女子が多いんだけど、藤枝さんは平気な感じだね。肝が太いなぁ、カッコいいよ」


カッコいいんじゃない。
髪なんてどうでもいいだけだ。

少し短くなってもいい。それが自分で切ったか、第三者に切られたかも関係ない。

でも、確かに私の思考は少し人と違うのかもしれない。

私は平穏無事に生きていきたい。
誰とも関わらず、静かに暮らしていきたい。

愛も夢も人生を彩ってくれるかもしれないけど、一生続くものではない。
子どもじゃないんだ。そんなこと、わかってる。
わかっているから望まない。


髪をショートカットに切ってもらい、外に出ると、秋の爽やかな風がうなじを撫でた。
心地好い。
そのまま、電車に乗って渋谷に向かう。

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