メランコリック
私の思考が暗く停滞しているのは、環境もあるかもしれない。

父は私が物心ついた時にはアル中だった。
建設業についてはいたけれど、途中から行かなくなり、母は家を出ていった。

私は父方の祖父母に引き取られ、育てられたのだ。

でも、こんな生い立ちは別に珍しくない。世の中には、ありふれている。

むしろ私は幸福な方だ。
親に愛されなかった代わりに、私にはたくさん愛をくれた祖父母がいる。
だから、愛情不足なんて陳腐な理由は私の人格形成に影響しない。

ただ、母の後ろ姿は忘れられない。

小学校の低学年だった私に「ごめんね」と一言だけ言い、家を出ていった母。
その背中の潔さだけが忘れられない。

看護師だった母は、ひとりでも生きていける。
しかし、夜勤もあり、頼れる親も他界した母は、私を育てられなかった。
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