メランコリック
「やめてほしい?」


「そりゃあ、やめてほしいけど」


「じゃ、条件」


俺はパイプ椅子に座って、ドアの前で立ち尽くす藤枝を見つめる。
頬杖をつき、余裕を持って笑顔で。


「おまえ、俺のセフレになれよ」


藤枝が目を見開いた。
彼女にしては最大限の表情の変化だった。


「セフレ……」


「セックスフレンドのこと」


「知ってるけど……、相良くん……私のこと嫌いなんだよね」


藤枝が、戸惑った声音で問う。俺は当然とばかりに笑った。


「当たり前だろ?嫌いだから、セフレなんだよ。俺は手近にすぐヤレる女が欲しいし、おまえは職場いじめから解放される。お互い、メリットあるじゃん。おまえも処女じゃねーなら、減るもんでもないだろ」
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