メランコリック
女とメシ食って帰り道。
これが狙ってる女なら、楽しい気分だけど、今日はただ疲れたって感じだ。
相手が職場の先輩、兵頭さんなわけで、結構彼女が押してくるのが、正直限界。

今日ははっきり言われた。


「相良くん、私たち付き合ってみない?」


俺は苦笑いするしかできなかった。
無理だろ。見た目はともかく、俺、このヒトの性格が無理。
弱いものには強くて、ズルすることばっか考えてるこの女とは付き合えない。
兵頭さんの本性を知っていると、彼女のしっかりメイクされた可愛い系の顔が、ひどくあざとく気持ち悪く見えた。


「今、彼女とか考えらんないッスよー」


俺はごまかす方針に決めた。職場の先輩を怒らせてもしょうがない。生き辛いのを好むのは藤枝くらいだ。
世間一般の人間は、うまく周りと協調してやっていきたいもんなんだよ。


「兵頭さん、可愛いから、めちゃめちゃ嬉しいですケド、今は仕事でいっぱいいっぱいなんです」
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