怪人十二面相 ~成功確率0.01%達成までの道のり~
第3章~Confluence~
「ドントゥルッルンルン、ドゥットゥルルルルル…」
夢の国(ネズミ君が主人公)のテーマソングが室内にこだました。
こだまでしょうか?いいえ、ニメン奏。
「お、ニメンソからの着信だ」
カイジは、着信音に対して食い気味に発音した。
「ニメンソ、遅いよ」
ジュンが、食傷気味にこたえる。チューチュー。
カイジは、少し遅れて反射し電話を取る。

どうやら、ニメンソは既にお店の近くまで来ているらしく、
あと47秒で店に着くとのことだった。

「ニケは、あとどのくらいになりそう?」
カイジが先方の動向を確認する。
「ニケも、あとちょっとで着くらしいって。お店で先に待ってるね~って伝えてるよ」
エルフは、主人公をサポートする気の利くフェアリーのようだ。

「ちょっとって、具体的にどのくらいになりそう」
ジュンは時間に厳しい。
ちょっとは、あとちょっとでいいだろ、というような気功をカイジはジュンに送る。
ちょっとは、あとちょっとで良いだろうか、いや良くない、とジュンが殺気を送り返す。
「2,3分くらいだと思うけん」
直感型のアルテが答えた。
少しだけ、奥ゆかしいジュンに対して放電しているような感があった。

ちょっとだけ、ぎこちない雰囲気が室内を覆って、
カイジとジュンは、ドギマギしてしまった。カイジもなかなか二の句が継げない。
そんな時・・・。

「お待たせ~」
はつらつとした声の持ち主は、ニメンソ。
彼は場の空気とは無縁の存在だった。電話してから、57秒後の出来事だった。

「あら、やだ、カッコイイ」
直球か。
ジュンは、ニメンソを目視したアルテの顔、
そして肌が、水を得た魚のように、瑞々しく輝いたのを見た。
カイジは、普通に嫉妬した。

「っぽ…」エルフは、主を見つけたように、
一心にニメンソの薄茶色の瞳を見つめ、エルフの黒い瞳は釘付けされた。
ジュンは、普通に落胆した。ニメンソに、死角なし。

ニメンソは、しなやかな長身と頑強な胸板を同時に持ちあわし、
爽やかな短髪、色素の薄い髪色と虹彩が、その存在を輝かせ、
実際、汗を多量に掻いていた。ニメンソは、代謝が良いのだ。

「遅れてごめんなさい。ランチはもうすぐ着きそうなの?」
ニメンソは、謝罪も早々に、早速女性達に質問した。

「ランチ…?!」
アルテビックリ。
どちらかと言うと、今の時刻はランチというより、ディナーだ、とジュンは思った。

「っえ、幹事の子の名前だったよね。遅れてるんじゃないの?」
ニメンソは、少年のような眼差しで、質問を重ねる。

先程より深刻で、ぎこちない空気が、全体に漂う。
カイジもジュンも、エルフもアルテも、お互いの顔を見渡し、
ある程度困惑している様子だった。

「私達(女の子達)の幹事の名前はニケだけん(だよ)」
アルテとジュンがほぼ同時に発言した。

「え、どういうこと(だ)…?」
エルフとカイジも続く。
ニメンソは、頭の右側を一本指でつついて、何か考えている様子だった。

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