怪人十二面相 ~成功確率0.01%達成までの道のり~
第4章~Judas~
「ドゥダーダッ、ドゥダーダッ、ドゥダーダッ」
アメリカの歌姫(最旬)が、重々しい沈黙を切り裂く。
5人全員が、アルテの携帯電話に注目した。
「ニケからの電話やけん。…もしもし、ニケ?」
アルテは、何事も深く考えない。ニケからの連絡を取った。
「もしも~し、アルテ?お店に着いたよ。
 って、誰もいないんだけど。あんた達一体何処のお店にいるの~?」
ニケは、やや荒々しい口調で、静まり返った室内は、
電話越しでも彼女の声を轟かせた。

カイジもジュンもエルフも完全に混乱した様子で、目が泳いでいた。
ニメンソは、目を閉じて考え込んでいたが、やがて合点がいったように開眼した。
アルテは笑っていた。よく分からないけど楽しそうだ。アーメン。

「アルテさん、電話を替わって頂けませんか?状況が分かりました」
ニメンソ、君は、聴覚も優れているのか、それとも直観も含まれているのか、
呼んだ名前は正しかった。
「ニケ~?ちょっと、よく分からないけん。
nやけ、一緒にいる人に替わるね~。…はい、どうじょ」
自分のいる場所も人もよく分からない状況で、
この平常心は何なんだ、ジュンは思った。

「もしもしニケさん、ニメンソと申します。」
「はじめまして。エルフとも一緒にいますか?」
「はい、恐らく。こちらにいる素敵なお嬢さんは恐らくエルフさんかと」
なんか、軽い誘拐犯みたいだ、とカイジ、ジュンはワクワクした。

一瞬の間が、電話口の向こう側にあった。
ニケも恐らくこの状況をうまく飲み込めていないのだろう。

「あなたは、誰?」
「ニメンソです。私達は恐らく大きな間違いを、
 今、おかしている、そんな気がします」
「わたしも、そう思います。ちょうど今、ウルフから連絡が来たわ」
「僕も、ランチから、そろそろ連絡が来ると思います。つまり…」
「あなた達が会っているのは、本来の合コン相手ではない、ということね」
「はい、恐らくそうです。」

え、どういうこと、どういうこと?と、アルテがはしゃぎ立てる。
一方、エルフは、微小を浮かべながら落ち着いた様子だった。
カイジとジュンはお互いの顔を見つめ合って、今の状況を確かめ合っていた。
< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop