甘い時 〜囚われた心〜
まるで、引きずられるように、連れていかれる。

「あっ、あの…桜華様…はぁはぁ」

桜華の長い足で早歩きをしていても、雛子は走っていた。

息が切れる。

必死でついていく雛子を、皆が振り替えって見ていた。

「桜…華…様!…苦…しい…」

いくら、雛子が訴えても、スピードは下がらない。

バァーンッ

すごい勢いで、屋上の扉を開けると、そこには数人の生徒達がいた。

「出ていけ…」

静かに、冷たく言い放つ。
桜華の低い声が、更に低く聞こえた。

バタバタと走り消えていく生徒達。

さっきまでいた数人の者達が完全に消えると、バタンっと扉を閉めた。

雛子はというと、やっと、立ち止まった事に、ホッとしながら、乱れた息を必死で整えようとしていたが、なかなか治らない。

ヘタヘタと、その場にしゃがみこんでいた。

そんな雛子に目を向けると、まだ疲れ、グッタリとしていた雛子の腕をつかんだ。

「きゃっ!」

引き上げ、無理矢理に立ち上がらせると、今入ってきた扉に、雛子の背を押し付けた。

「桜…華…様…」

「お前は、まだ、自分が誰の者か分かっていないんだな…?」

冷たい声が雛子に降ってくる。

「私…何か…しましたか…?」

小さく震えながら、雛子は、やっとのことで、声を出すことができた。

「何か?俺の許可なく、他の人間と喋っただろ?」

「そんなっ!」

それだけで!?
雛子の声は届くことなく、桜華の激しい口づけによって、かき消された。

「…んっ…ふっ…やぁ!」

暴れる雛子の両手を頭の上で一つにして、壁に押し付け拘束する。

激しい口づけに、グッタリと雛子がした時、唇は雛子の首筋へと落ちていく…
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