ぼくたちはあいをしらない
 轟は、口笛を吹きながら口笛を吹きながら大幅で歩く。
 それを快く思わないモノもいた。

「おい、兄ちゃん。
 調子にのってんじゃねぇぞ?」

 ガラの悪い高校生ぐらいの男子生徒たちが轟を取り囲む。

「お前らは、なんだ?」

「『貴方たちは、誰ですか?』だろう?」

 ガラの悪い少年たちのひとりがそう言って地面につばを吐く。

「で、誰なんだ?」

 轟は、ケラケラ笑う。

「目上の人と話すときは敬語を使えって習わなかったか?」

 男子生徒が、そう言うと轟はため息をつく。

「なんだ?その態度……
 ちょっと面貸せや!」

 男子生徒たちは、轟をそのまま人気のない場所まで移動させた。
 轟は、その場から去ろうと思えばいつでも去れる。
 だけど、去らなかった。
 理由は至極簡単なものだった。

 男子生徒のひとりが、轟を蹴る。

「今、蹴ったのは誰だ?」

 轟の表情が険しくなる。

「……ああん?俺だよ。
 殺されたいのか?ってか、殺してやろうか?ああん?」

 男子生徒のひとりが、ナイフをチラつかせる。

「ナイフか……
 安そうなナイフだな?小遣いで買ったのか?」

「安くても切れ味バツグン。
 お前刺されたいか?」

「バカそうな話し方だな」

 轟が、そう言うと男子生徒の表情が怒りに満ちる。

「死にたいなら殺してやるよ!
 俺の親は、衆議院でなにやっても許されるんだよ!」

 男子生徒は、そう言ってそのままナイフで轟の腹部にナイフを刺す。
 いや、刺したはずだった。
 しかし、痛みはナイフを刺した男子生徒の腹部に走った。

「なんで……?」

 男子生徒は、2、3歩後ろに下がったあとそのまま倒れた。

「なにがあったんだ?」

 他の男子生徒たちが、どよめく。

「お前ら今まで何人殺した?」

 轟が、男子生徒の方を見て笑う。

「殺す……?」

 男子生徒の表情が、一瞬で恐怖に変わる。

「あー、0人ね。
 まぁ、殺せる度胸ないわな」

 轟は、そう言って刺された男子生徒を蹴る。
 すると男子生徒の体が、他の男子生徒の方に転がる。
 そこでやっとその男子生徒が刺されたことに気づいた。

「なぁ、こいつヤバいぞ?」

「ヤバい?
 そりゃそうさー。
 なんたって俺は特別だからな!」

「特別?」

「ああ、そうさ。
 俺は何をしても捕まらない。
 なぜだか解るか?」

 轟の問いにその場にいた男子生徒が首を横に振る。

「俺を捕まえれるヤツがいないからだ」

 そう言って男子生徒のひとりの首をナイフで斬る。

 血は出ない。
 血が出ると服が汚れる。
 だから、血の流れをスローモーションの能力で止めているのだ。
 だが急所を斬られた男子生徒は、確実に絶命する。
 それが、斬られた男子生徒は恐怖する。
 死なない自分とこれから死ぬ自分、両方の恐怖を感じる。

「権力で捕まらないワケじゃない」

 そう言って、別の生徒の首を斬る。
 他の男子生徒は、轟に背を向けてそのまま逃げようとする。

「実力で捕まらないのさ。
 迎えくる敵は全て皆殺し。
 悪ってのは、そう言うものだろう?」

 背中の向こうにいるはずの轟が、男子生徒たちの前に現れる。

「……な――」

 その生徒が、その言葉を放つよりも先に轟は、その男子生徒の首を斬った。
 そして、またひとり、またひとりと斬っていく。
 最後のひとりを斬ったあと轟は、ニヤリと笑う。

「ちなみにコレ、自業自得ってヤツだからな」

 男子生徒たちは、なにも語れない。
 何故ならスローモーションで動きを止められているからだ。

「んじゃ、あばよ」

 轟は、そう言ってゆっくりと歩き出す。
 次なる標的を目指して口笛を吹いて歩く。
 轟がその場からいなくなってから5分後……
 男子生徒たちは、首から大量の血が飛び出し。
 そして、絶命した。
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