シローせんぱいのこと。
「下級生になーにやってんの。しかもそんな大人しそうな子つかまえて。可哀想に」
「だ、だってこいつさぁ、シローのまわりウロウロして……」
「だからなに?シローのまわりウロウロしてちゃダメなわけ?そんな法律アリマセンー」
綺麗な顔が台無しになるくらいに、三人にべーっと舌を出すアヤさん。
そんな彼女に、先程までピリピリとしたオーラを出していた先輩たちもさすがに怯み気味だ。
「ていうかさ、シローに好かれたいならこんな姑息なことしてないで、この子みたいに堂々とそばにいればいいでしょ」
「なっ!」
「何もしないで好かれたい、けど近くに他の女がいるのは嫌、なんて都合よすぎ」
ズバッと斬るような一言に、三人は何も言えずに押し黙る。そしてバツの悪そうな顔ですごすごとその場を後にした。
さきほどより一層静かになった廊下で、アヤさんはフンッと鼻で息をする。