「お前は俺のモノ」【完結】
「多恵っ!!!」


葵兄が私を呼ぶけど、私は。


「ごめん」


それしか言えない。


呆然と立ち尽くす、葵兄。


チクチクと胸が痛む。
でも、私は彼の腕に抱かれながらその場を立ち去った。


近くに停めてあった彼の車に乗る。
久々の助手席。


バンと扉が閉まったかと思ったら、彼が強引に私の顔を掴んで自分へと向ける。


「……タエ」


このまま見つめていたら、その綺麗な瞳に吸い込まれそうだ。
そう、思った。


彼は顔を近付けると、ちゅっと一度キスをする。
薄らと目を開け、私の様子を窺ってからまたキスをした。

それから、何度も何度も角度を変えては私の唇を貪って行く。

やっと離した彼は、私の髪の毛を優しく梳いた。
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