「お前は俺のモノ」【完結】
「お前、何も言ってなかったのかよ?」
「いえ、昨日話はしたんですが…」
「はあ。ったく。まあいいや。
今からお前は俺の家に行くから」
「え?」
もう、思考回路停止寸前。
何で?どうして?
何も言ってないって何?
あれ以上にまだ何かあるわけ?
私は強引に引っ張られながら、私から視線を逸らしている母親を睨みつけた。
無理矢理、乗せられた車。
ドカっと背中を背もたれにつけると、彼は一言、「出せ」と言った。
掴かんでいた手を離した彼は、足を組むとそっぽを向く。
掴まれた場所が、痛い。
そこだけが熱を帯びている様だ。
「……何で、家に行くんですか」
「……あ?」
彼は低く威嚇する様な声を出す。
こんな彼を見た事がなくて、本当に同一人物なのかと疑いたくなる。
「着くまで黙っとけ。
着いたら教えてやる」
そう冷たく言い放つと、彼は今度こそそっぽ向いて私の方を向かなかった。