「お前は俺のモノ」【完結】
「はい、その間に多恵はこれ。塗って。
見せたいならいいけど、やっぱりみっともないから」


そうやって、私にファンデを差し出す。
ありがとう、と言いながら受け取ってそれを首元に塗って行く。

少しずつ隠れていく、あの証。


それを塗りながら、私の目からは涙が溢れていく。


「えっ、多恵?まじでどうしたのよ!?」


髪の毛を梳き終わった陽子が、私の顔を鏡越しに見て驚いた声を出す。
涙なんて、人前で流したのはどれぐらい振りだろうか。


「それ…と、何か関係あるの?」


陽子は少し言いにくそうに、私に尋ねる。

それとは、私の首元の証の事だ。
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