アイドルなんて、なりたくない<font color=
しかし、紫は余裕の顔で

「開発は進んでおります。様々な実験により、最高の設備と素材を用意できます。後は、お父様のgoサインのみです」

その笑みは、還暦が近いとは思えぬ程に妖しく美しい。

慎吾は足を組み

「準備万端というワケか?だが紫、資金ならば私でなくてもよいだろう?お前の個人的資産で賄えるだろうに」

すると紫は、ニコッと笑い

「あら、私がやってしまえば、お父様がスネるからですわ。『なぜ、私にさせないのだ!』って」

慎吾は、言葉に詰まったが、コホンと咳をして

「なるほどな。それで?優衣の方は大丈夫なのか?」

と、優衣に問うた。

「え?」

優衣が目を丸くして首を傾げていると

「お前は、芸能活動を嫌っていただろう?まさか、無理に…」

言いながら、慎吾の表情が険しくなる。

優衣は、首を横に振り

「いいえ!無理強いはされておりません。私がやってみたいと思っただけです」

慌てて言うと、慎吾の表情も柔和に戻り

「そうか…優衣の意志なのだな。じゃが何故?」

慎吾の疑問に、優衣は笑顔で

「私が《橘香織》の娘だからですわ。大お祖父様」

そう答える。

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