愛していると言わないで。

突然言われたその言葉に、私は内心鳥肌が立つ。

「ねぇねぇどお?可愛いしさっ!」

きっと遊んでいるように見えるから、うなずくと思ってるんだろう。

でも、私は。

「……思ってもないこと言わないで。」

この人の目は、何も映してない。

目の前にいる私も、綺麗な桜も。

私はそれが分かるから。

「っ……」

それを聞いた先輩は、わずかに息をのみそれからニヤッと笑った。

「へぇ?そんなことないよ?」

別に会ってすぐの私に心を開けとは言わないし、開かれても困るけど。

「隠したいんだったら、その仮面な笑顔何とかした方が良いですよ。」

さっきはうっかりタメ口きいちゃったけど、今度はちゃんと敬語で話す。

後で呼び出されても面倒くさいし。

先輩は、しばらく目をぱちくりしていたが、私はその隙に後ろを向いて歩き出した。

「まっ……」

後ろから何か声が聞こえたような気がしたが、振り返らずに立ち去った。
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