冷徹執事様はCEO!?
次の日は、雨だった。

なんとなく独りでいる気にならず、午後から田中の部屋に遊びに来て2人で読書をしている。

ソファーに寝そべり、田中に寄りかかりながらチョコレートをつまんで、雑誌をパラパラ捲る。

田中はWebマーケティング戦略におけるRTB市場の拡大…とかなんという本を熱心に読んでいる。

「つまらなそーな本ね」

「楽しいですよ。燁子様は何を読んでいるのです?」

「秋のモテテクコーデ着回し一週間」

「くだらないですね」田中は失笑する。本当ムカつく男だ。

「チョコレートを一ついただけますか」

トリュフを一粒つまんで田中の口元に持ってく。

田中は本から目を離さず口を開けた。

食わせろ、ってことか。

私は田中の口にチョコを放り込んだ。

「ん、美味しい」

田中は無表情で読書しながら、チョコを頬張る。

「ごめん、ココアがついちゃった」

口元に茶色の粉がついてしまったので私は指先で払った。

整った薄めの唇に指先が触れ昨日のキスした時の光景がフラッシュバックする。思わず私は紅くなった。

「ありがとうございます」

「いえいえ」

赤い顔を隠すように私は再び雑誌を広げた。
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