冷徹執事様はCEO!?
運命でもなく、ただ一緒にいる時間が長くて情がわいてるだけかもしれない。

ううん、少なくとも私は違う。

初めて彼を見た時から魅せられていた。

キスの途中でそっと目を開ける。

田中も目を開けていたので至近距離で目があった。

田中はすっと目元を綻ばせる。

何だかたまらなく愛おしくて、それでいて切なかった。

どちらともなく唇を離す。

「今日はこの辺しておきましょう」

「…うん」

こうやって田中は理性できちんとストップを掛けられる。

その冷静さが今は少しだけ恨めしい。

「なし崩しにしてしまうと、弱味につけ込んだ、と思われそうなので」

そう言って、田中は苦笑いを浮かべる。

「もしかして、亜梨沙の言ってた事気にしてる?!」

私はニヤニヤと笑がこみ上げてくる。

「俺は気にしてない、けど、燁子様にそう思われないかは気にしてます」

私はおかしくてケラケラ笑った。

「それに、燁子様の気持ちにきちんと整理が着いてから、改めて迫ります」

田中は大真面目に言う。

「そうね、覚悟が決まったらいらっしゃい」

私は田中の顎をするりと撫でて、にっこりと微笑んだ。
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