冷徹執事様はCEO!?
私達は手を取り合い、ホテルのロビーを小走りで突っ切る。

タイミングよくエレベータのドアが開いたので、慌てて駆け込んだ。

「田中が盛ってきたからギリギリになっちゃったじゃない!おかげでお気に入りのクラッチバック持って来れなかったでしょー?!」

「モタモタしてたのは燁子様の方でしょう。百歩譲って朝グダグダしてたのが私の責任だったしても今日持って行く物については前日までに用意しおくのが常識です」

「気分が変わるかもしれないじゃない!」

「そもそも日頃の整理整頓が出来ていれば見つからない、なんて事はないんじゃないですか」

間髪いれずに反論してくる。

私は言い返す事が出来ずに、うう…と口ごもる。

相変わらず口の減らない男だ。

そんなやり取りをしているうちに目的のフロアにエレベーターが到着し、チンとベルが鳴った。

扉が開くと、ピタリと口論は止まり、私は口元に笑みを湛え、田中は澄ました顔になる。

某外資系ホテル、カトレアの間の入り口には『up world 60th anniversary』と書かれたボードが掲げられていた。
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