冷徹執事様はCEO!?
トイレから出て手を洗っていると、マスカラをたっぷり付けた気の強そうな女が入って来た。

「あ!」

お互い目が合って同時に声を上げる。

「どこ行くの?日経サファイヤの新田さん」

トイレから逃げるように出て行こうとする新田に声を掛ける。

新田は腹を括ったように強張った表情で此方へ振り向くと、深々と頭をさげた。

「先ほどは申し訳ありませんでした!葛城様!」

ここまで平身低頭だと逆に気が引けてしまう。

「ああ、気にしてないわ」

「しかし、分もわきまえず出しゃばった真似をして、お恥ずかしい限りです」

確かに一理あるけど、今は新田どころじゃない。

「ううん、気にしてないわ。確かに私は何も、知らずに此処へ来たから」

「燁子様…」

新田はホッとしたのか、薄っすらと目に涙を浮かべた。

「『様』はやめて。せめて「さん」にして。新田さん」

「はい!燁子さん!」

「Yes!sir!」と言って敬礼でもしそうな勢いだ。
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