冷徹執事様はCEO!?
『Ri-naさんの事務所は大人同士の事なので、本人にお任せしています、というコメントを発表しています。芸能関係者によりますと結婚秒読み、なんて情報もあるようです。今年中に挙式を上げるようでしたらビッグカップルの誕生ですね』芸能レポーターが何故か嬉しそうに言う。

『美男美女でお似合いですね』アナウンサーは適当な相槌を打つと『さて、次のニュースです』といって話題を切り替えた。

すれ違う人がギョッとした表情で田中を振り返る。

そりゃそうだ。

さっきまでドアップで映しだされていた独身イケメンセレブとやらが此処にいるんだから。

「いるじゃない、恋人…」

窒息しそうな重苦しい沈黙を私が破った。

「いや、恋人では、ない」

田中がボソリと呟き否定する。

「モデルのリナってこの間パーティーで会ったすっごく綺麗な人よね。家柄だけの私と違って、お似合いじゃない」

私は気にしていないフリをして明るく言ってみせるが、自分でも痛々しく感じてしまう。

「いや、リナは藤原の…」

「ふじわらの?なに?!」

私は藤原に射抜くような鋭い視線を向けた。

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