冷徹執事様はCEO!?
俺が受け取りを拒むが「駄目です。受け取って下さい」と言って頑なに聞かない。意外と頑固のようだ。

アーモンドアイが俺の顔を真っすぐに見据える。

真剣な表情も、やっぱり可愛い。

匠は怖いけど、この先妹が何処かの見知らぬ男に触れられるのは何となく嫌だった。

「じゃあ、連絡先教えてよ。そしたら受け取る」

俺はとびっきり甘く頬笑みかけた。

大抵の女はこれで落ちる。…滅多に見せる事はないけど。

妹も例外ではなく、真っ赤になり、大きな黒目をきょろきょろと泳がせている。

焦り過ぎたかな、と思うが、ガードの固い匠がいては妹と二人きりになれるチャンスはこの先あまり望めないだろう。

どうにかして、妹との繋がりが欲しかった。

困った顔も可愛いけど、もう一度ニッコリと笑った顔を見たい。

「しかし、お嬢様でも1人でラーメン屋とか入るんだね」

嬉しそうにラーメンを食べていた妹を想い出して思わず笑みが零れる。

しかし、妹は赤い顔のまま表情を強張らせた。

何かマズイ事を言ったのだろうか。

スラリとした白い指で握りしめた封筒を俺の胸に押しつけると、転がるように妹は家の方へ駆けて行ってしまった。

俺は自分の失態が何かわからず、青い封筒を手に持ったまま呆然とする。

しかし、チャンスの神様の前髪を掴み損ねたことだけはハッキリわかった。
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