冷徹執事様はCEO!?
それでも、妹に会いたくて、俺は駆を連れて何度か匠の家に足を運んだ。

しかし避けられているのか、忙しいのか、妹の姿を見かけることは殆どなかった。

たまに顔を合わせると、妹はいつもそそくさと逃げていった。

どうやら嫌われているらしい。

これまで女性に拒まれたことがなかった俺は何が悪かったのか、どうしたら妹に振りむいてもらえるのかが全く解らなかった。

かといって、シスコンの匠に相談することも出来ない。きっと葛城家を出禁になるだろう。



何年か経った頃に大学生となった妹の姿を見かけた。

制服を脱いでお下げ姿ではなくなった妹は、純白のコートを羽織り薄らと化粧を施して、見違えるように綺麗になった。

大学では言い寄ってくる男も多いだろう。もしかして男と会っていた帰りなのかもしれない。

やはり、あの時強引にでも連絡先を教えてもらえれば、と思うと苦々しい気分になる。


その一方で、何故か俺は匠の父親と意気投合し、急速にその距離を縮めていく。

娘には毛嫌いされていても、おっさんには好かれるとは皮肉なものだと思っていた。

相変わらず葛城家には定期的に足を運んでいたが、就職し仕事に追われるようになると、序々に妹の姿を追うこともなくなった。

その代りに、匠とその父親、駆を含めてビジネスの話に花を咲かせる。

葛城商事の代表取締役である匠の父は、やはりビジネスでは神のような存在で、非常に興味深い話をたくさん聞く事が出来た。

起業をしようと思ったのは間違いなく、匠父の影響が大きいだろう。

いつの間にか葛城家に来る目的が俺の中で変わっていった。
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