冷徹執事様はCEO!?
「燁子が駆け落ちした」


匠から妹の話を聞かされたのは俺が勤めていた会社を辞めて駆と会社を起こしたばかりのことだった。

「燁子ってあの清純そうな?」

「そうだ」匠は苦々しく言う。

「あいつは有益な結婚のために大事に育てられてきたのに、どこかのロクでもない男に引っかかって家を出たんだ」

まったく困ったヤツだ、と匠は吐き捨てるように言う。

俺は事もあろうにその話を聞いて笑い出した。

やっぱり、妹の本来の姿はラーメン屋で見た方だったようだ。

素直に親の敷いたレールの上を歩くタイプではなかったらしい。

深刻な話をしている時に笑いだした俺をみて、匠は舌打ちする。

痛快だったが、どこか寂しくもあった。

この後に及んでもまだ行く末は妹と一緒になるんだろうと思っていたから。

あんなに嫌われていたのに自分でも何故そう思うのだろうと不思議なのだが、あの夜から俺と妹は結ばれる、というどこか確信めいた気持があった。


妹が他の男と結婚したのなら、きっと俺は一生独身だろう。
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