冷徹執事様はCEO!?
「何か、ごめんね?兄と彼が迷惑掛けちゃったみたいで」

どちらも近しい存在である私は、何となく謝ってしまう。

「そういえば、二子玉の料理研究家って何のこと?」

稜が言っていた事をフト思い出し、尋ねてみる。

遥さんはグラスにワインを手酌で注ぐと一気に飲み干した。

「ああ、匠の浮気相手れすよー」

私と晴子姉さんはギョッとした表情を浮かべた。

「えええええっー?!」

そして数秒後、声を揃えて絶叫する。

「あのクソ真面目な匠ちゃんが?!」

「ぜえんぜん、っす」

「ごめんね …遥さん、私達はスッカリ優等生の顔に騙されちゃって」

晴子姉さんは遥さんの肩にそっと手を置いた。

「でもさー二子玉の料理研究家もよく匠ちゃんみたいな既婚、子持ちの上に女心に疎い男を相手にするよねー」私は肩を竦めて言う。

「つまらない男よね」晴子姉さんも同意する。肉親には容赦ない。

「そんな事ないれす…匠はとっても魅力的れすよ?」旦那の悪口を言われて、遥さんは唇を尖らせた。

「まあ、お金あるからねー」晴子姉さんはワインをコクリと一口飲む。

「でも夜の営みとか超淡白そー」私が言うと晴子姉さんは爆笑する。

「超濃厚ですよ!」と遥さんが反論すると「…それはそれで嫌だわー」と言って晴子姉さんは眉根を寄せる。

「いや!おぞましくて想像したくない」私は思い浮かびそうになる想像を首をブンブンと横に振り打ち消す。

「人の旦那さまをひつれいですねー」遥さんは唇を尖らせる。

いつもはしっかりしてるので、こうゆう拗ねた表情は新鮮で可愛らしい。

その時、ドアをノックする音が聞こえた。
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