冷徹執事様はCEO!?
「どうぞ」と、晴子姉さんが返事をすると、渦中の男が部屋に入ってくる。

さっきまで賑やかだったサンルームはシンと静まり返った。

「あ、あれ?入って来ちゃまずかった?」

三人に凝視され匠ちゃんは狼狽えていた。

「ううん、大丈夫だよー」私は笑顔で取り繕う。

「もう、1時過ぎてるから向かえに来たんだけど」さすが、匠ちゃん。過保護だ。

テーブルの上に転がる空のワインボトル、そして、真っ赤な顔をしてヘラヘラ笑う妻の姿。

瞬時にして自分の判断が正しかったと思うだろう。

だけど、10分遅かったわね、匠ちゃん…。心の中で同情する。

「私達は片付けて行くから早く遥さんを連れて帰ってあげて」

「悪いな、姉さん 、燁子」

いつも抜け目のない長男の弱味を握れたのだ。片付けくらい安いもんだ。

「いえいえ、こちらこそー」私達姉妹は不敵な笑みを浮かべた。

「ほら、遥、部屋に戻るぞ」

「ふぁい、ご主人さま」

その瞬間、私と晴子姉さんはギョッとした表情を浮かべ目配せする。

匠ちゃんの笑顔がピシッと固まる。

「そこはせめて『旦那さま』だろー、遥」

「あ、そっか」と、言って遥さんはテヘっと笑う。

「そうゆう誤解されるような事を言うなよ」

「あれえ、だって匠ってこうゆうの好きじゃなかったけ?男尊女卑?」

晴子姉さんは堪え切れず吹き出した。私もつられて笑い出す。

「馬鹿!それを言うなら『亭主関白』だろ?!」

匠ちゃんはすかさず訂正する。
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