その光を、追いかけて。




仁葉がショックで言葉を失うと、小さく笑った輝くん。

頭をぽふぽふと撫でられた。



「お前が声をかけてやれば、すぐに元に戻る」

「そうかな?」



もちろん、と力強く輝くんが頷いてくれる。



「俺も梓もお前のことが好きだからな」

「〜〜っ」



その笑顔に顔があつくなって、仁葉はあごを引いてうつむく。



ずるい、言葉。

好きって言葉はなんて甘いんだろう。



輝くんに言われると、今までとは違う意味があるんじゃないかと考えてしまって……。

胸が、苦しい。



そんな風に考えている間に輝くんは梓ちゃんに電話をかけていたらしい。

「すぐに行くわ!」という声が仁葉の耳にまで届いた。






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