雨音はショパンの調べ
「雨音はショパンの調べ」なんて昔、歌の歌詞にあったけれど……本当にそうね。


実感してる。


貴方と別れて、私は煙草の味も覚えたの。


雨が降るたび、眠れない夜を過ごしながら、ちっとも美味しいとは思えないのに……。

日毎に、煙草の本数が増えた。


煙草を吸ってる貴方の横顔が、好きだった。


煙草を手にした、貴方の指が好きだった。

煙草を吸ってると、貴方が傍にいてくれる気がしてた。


愚かな女ね……。


あれから1年も経つのに。

まだ、貴方を思って泣けるなんて……。

ゆっくりと珈琲を飲み終える。

いつの間にか窓を打つ雨音は、穏やかに優しくなっている。


霧のように煙る雨が時折、銀色に光る。

私は煙草に火を点し、揺れる煙を見つめながら、何度目かの溜め息をつく。


もう、泣かないわ。


私は覚悟を決めて、席を立つ。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

雨に似ている
竹久祐/著

総文字数/56,208

恋愛(学園)143ページ

表紙を見る
表紙を見る
空と君との間には
竹久祐/著

総文字数/113,415

恋愛(オフィスラブ)312ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop