イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「何でもない事だって思えない私が悪いのかなって、謝ってそれではいおしまいって思えない私がいけないのかなって……ずっとそういう気持ちが消えなくて。
祥太の笑顔を見る度に、自分の中のドロドロした感情と祥太の明るさに板挟みになって、息苦しくなった」

だから、息苦しさを緩和させたいばかりに無意識に気持ちにヴェールをかけて見えづらくして、好きって気持ちに伴う痛みを隠したのはいつだったか。
おかげで祥太の浮気に免疫もできたし、高校生の頃みたいに深く傷ついて悩む事もなくなった。

けれど……それと同時に祥太への気持ちも、ぼやけてしまった。
当たり前だ。好きって気持ちから、恋愛部分を自ら削り落としてしまったのだから。

祥太が好きだけど……今も好きだけど、多分この気持ちはもう――。

“恋愛”じゃないのかもしれない。

「ここにくれば、高校生の時の私みたいに、祥太を好きな気持ちを思い出せると思ったの。
だって、告白された時は本当に嬉しかったし。私だって祥太の事大好きだったから。
なのに……思い出は見つけられても、気持ちは……取り戻せなそう」

俯いた私の耳に、ギシっと小さく木の軋んだ音が聞こえた。
そして、近づいてくる風間の足音が、目の前まで来て立ち止まる。

薄暗い教室に、影は伸びなくて……今が、思い出の中とは違うって思い知らされる。



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