昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
「いんぐ? なんのこと?」

「イングよing、現在進行形なのよっ」

桜はやけくそ気味に言い放ち、またもビールを飲み干す。

これはまずいと首を捻ったとき、テーブルのうえに出していたスマホがピカリッと光る。

仕事が終わったら連絡すると言っていた奏多から『今、どこ?』とラインが入ったところだった。

場所と現状を速打ちすると『了解。合流する』の返事。

こんなにおいで奏多に会うのもなんだかな、と思いつつも、酔っぱらった桜は手に負えなさそうだ。

いつも慰められてた私が今日ばかりは逆の立場なんて。……私ってば、こんな風に桜をハラハラさせていたんだろうかと、今更ながら反省したくなった。


桜が陽気と自棄を繰り返しながら話し続けることの十五分後に奏多はやって来た。

長身の奏多の影に隠れるようにもうひとり、ワイシャツを袖まくりした寺嶋さんの姿がある。

げっ、寺嶋さんだ。これって、私が裏切り者みたいになるの!?

「お待たせしてすみません」

桜の背後から声を掛けてきたのは、奏多ではなく寺嶋さんだった。

「私は待ってないっ!!」

ゴンッと木のテーブルにジョッキを置いた桜は一瞬だけ私を睨み、ふたりのほうを振り返る。

「三崎、すっかり出来あがってるなぁ」

奏多は桜の赤い顔を見て、苦笑を浮かべた。

「佐伯さん、すみません。ここのところ連絡が取れなくて、奏多君に一緒に行かせてほしいとお願いしたんです」
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