昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
……なんだ。寺嶋さん、ひとの視線が気にならないほどふたりの世界に入ってるわ。
はじめはチラチラ見ていたひとも、自分たちの話題に戻ってる。みんなお酒が入ってるから、他人が多少乱れたってたいして気にしないものなのね。
そんなことをぼんやり考えて眺めている間に、奏多が戻って来た。
「十分後に来てもらえるよう、店のひとにタクシーを呼んでもらいましたから。それまでに外に出てください」
奏多の声に、寺嶋さんは桜の頭に寄せていた顔をあげる。
「奏多君、すまなかった……ありがとう」
会社の上司の顔と恋人に向ける顔は寺嶋さんも違うのだろう。少し照れた様子で礼を言う。
「貸しといてあげます」
奏多は口元に笑みを漂わせ、隣のイスに置いていた私のバッグを持ち上げた。それを合図に私はイスから腰を上げた。
寺嶋さんの肩に顔を埋めたままで震えるような息遣いの桜を見つめていると、彼女のためになにかを言ってやりたいと思った。でも肝心な言葉が思い付かなくて。
「寺嶋さん。……桜のことお願いしますっ」
私は寺嶋さんに向かって、勢いよく頭を下げることしかできなかった。
はじめはチラチラ見ていたひとも、自分たちの話題に戻ってる。みんなお酒が入ってるから、他人が多少乱れたってたいして気にしないものなのね。
そんなことをぼんやり考えて眺めている間に、奏多が戻って来た。
「十分後に来てもらえるよう、店のひとにタクシーを呼んでもらいましたから。それまでに外に出てください」
奏多の声に、寺嶋さんは桜の頭に寄せていた顔をあげる。
「奏多君、すまなかった……ありがとう」
会社の上司の顔と恋人に向ける顔は寺嶋さんも違うのだろう。少し照れた様子で礼を言う。
「貸しといてあげます」
奏多は口元に笑みを漂わせ、隣のイスに置いていた私のバッグを持ち上げた。それを合図に私はイスから腰を上げた。
寺嶋さんの肩に顔を埋めたままで震えるような息遣いの桜を見つめていると、彼女のためになにかを言ってやりたいと思った。でも肝心な言葉が思い付かなくて。
「寺嶋さん。……桜のことお願いしますっ」
私は寺嶋さんに向かって、勢いよく頭を下げることしかできなかった。