ミステリー
悪魔と清香の案内された教室には、教習所の所長も来た。


『清香さん、いつ頃からつきまといが始まったのかな。つきまとう教習生の名前はわかるかな?』

所長が優しく尋ねた。



清香は悪魔に話した内容を、所長と受付の女性に話した。


所長は、
『清香さん大変でしたね、気づかなくて申し訳ない』
と言った。


『清香さん、わたしがつきまとう教習生に厳重注意する。そして、清香さんの教習終わるまで、清香さんとその教習生の教習時間をずらすことにする。それと、清香さんへのつきまといをやめないなら、その教習生を退校させる。
清香さんが、その教習生に会わないですむように。』

所長が言った。

清香は、所長と受付の女性に
ありがとうございます、といった。



待合室へ戻って来た清香と悪魔が、所長とともに長椅子に座ると、
ニヤニヤ笑いの背の低い小太りの、大きな丸顔のおじさんが、運転教習を終えて待合室へ入って来た。


『所長さん、あの人がつきまとって待ち伏せて
しつこく誘って付き纏う人です』
清香が小声で所長に言う。


所長は席を立ち、ニヤニヤ笑いの背の低い小太りの、大きな丸顔のおじさんのほうに歩いて行き、
『武田文雄さん、君に大切な話がある。
別の教室へ来てもらえないか』
と厳しい声で言った。
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